河口域の復興まちづくり

 東日本大震災から7年がたちました。陸前高田市は、気仙川河口域の砂地にまちが形成されました。海岸線に植林された7万本の「高田の松原」は、一本を残し全部流されました。松原は、江戸時代に開発した田地を守るための防風林としてつくられたものです。「一本松」は災害復興、まちづくりの希望の象徴になりました(写真1)。かつて海水浴客でにぎわった海外線は12.5mの防潮堤が建設されました。今回襲った津波の高さには対応できませんが、市街地のかさ上げと併せた多重防御の防災です(写真2)。

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写真1:災害復興、まちづくりの希望の象徴の「一本松」

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写真2:防潮堤

 市内の3つの鉄道駅(軌道)は津波で完全破壊されました。鉄道の再開が期待されたのですが、BRT(バス高速輸送システム)に移行しました。結果的にはこちらのほう便利であるとの声が最近聞かれています(写真3)。

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写真3:BRT(バス高速輸送システム)

 中心市街地は12mかさ上げ事業によって、商業施設、図書館、公園などがつくられました。休日ともなると家族連れでにぎわうようになりました(写真4)。

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写真4:かさ上げ事業後の中心市街地

 にぎわいが戻ってきた半面、かさ上げ地域に空き地が生じています。人口流出、生活不安,孤独,コミュニティの崩壊、事業主の多重ローン、高台移転事業による土砂災害のおそれなど、副次的災害が波動のように続いています。
 陸前高田市は交流人口の拡大に力を入れています。体験学習で宿泊する高校生は年間1000名を超えるようになりました。岩手大学は立教大学と共同で「グローバルキャンパス」を開設しました。防災のテーマに限らず、だれもが、集い、学び、伝えるため交流・研修施設です。
是非訪ねて見て下さい。
 
陸前高田グローバルキャンパス(HPから予約可能)
https://rtgc.jp/
PR 国際防災・危機管理岩手会議 (4月末まで登録可能です)
https://inds-iwate.org/
             岩手大学人文社会科学部 松岡勝実


日本初の水力発電所・三居沢発電所(宮城県仙台市)

 1888年7月、日本の水力発電は杜の都・仙台でその歴史の1ページ目を刻みました。その流れをくむ発電所は、100年以上現役で稼動を続けています。JR仙台駅から仙台市交通局のバスで約25分。仙台市交通局の「川内営業所」に隣接するのが、現在は東北電力が管理する「三居沢(さんきょざわ)発電所」です。

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写真1:1909年に完成した現在の建物(撮影:2017年6月。以降の写真も全て同じ)


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写真2:「水力発電発祥の地」の石碑

 当初は出力5キロワットの直流発電機でしたが、幾度かの改修を経て、現在は1910年から稼動するシーメンス社の交流発電機により、最大発電出力1,000キロワットとなっています。1888年、現在の仙台市交通局・川内営業所の敷地にあった「宮城紡績会社」(1884年に紡績事業を開始)が、仙台市内における電灯事業の開始を目的に、広瀬川の水を動力としていた織機の水車タービンに発電機をつけたのが始まりです。最初は紡績工場内の照明50基と、取水口のある山の頂上に1基設けたアーク灯を照らすために使われました。

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写真3:宮城紡績会社があったことを示すプレート。画面左上のバスの上に少しだけ見えているクロマツは、その当時からある。

 ただし電灯事業に関しては「時期尚早」との意見が強く、7年後の1894年まで待つことになります。その間、1891年に京都の蹴上発電所が電灯用の配電を開始したため、現状ではこちらのほうが有名になってしまっている感もあります。
(記念館の方も、ぼやくような感じでおっしゃっていました)

 1894年、発電機を30キロワットの能力のものに交換した上で、仙台市内における電灯事業が始まりました。当初の契約数は365灯でしたが、あっという間に増えていき、1895年の末には20万灯を超えていたそうです(書籍「東北の電気物語」より)。1900年、その電力に目をつけた人々によって、当時自転車の灯火用として需要があった「カーバイド」の製造が試みられ、見事に成功。のちに設立された「日本カーバイド商会」は、現在のチッソ株式会社のルーツとなっています。
 1910年には、現在使われている発電機を収容した新しい建物が完成。1942年には現在の東北電力の母体となる東北配電株式会社に継承され、100年以上経った今も現役で稼動を続けています。

 1988年、初代の建物があった場所に、「三居沢電気百年館」が開設。発電所の建物のうち、百年館と隣り合う部分の外壁はガラス張りに変更され、百年館から発電機を眺めることが出来ます。1999年、発電所の建屋が国の「登録有形文化財」に指定。2008年には発電機や関連資料が日本機械学会の「機械遺産」に。そして2009年には経済産業省の「機械遺産」の認定を受けています。

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写真4:1988年に開設された三居沢電気百年館(右側の円筒形の外観の建物)

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写真5:百年館から発電所建屋内を眺めた様子

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写真6:日本機械学会からの認定状と、記念のクリスタルトロフィー

 百年館の2階の外にあるテラスに出ると、現役の導水管と、初代の導水管の跡地を眺めることも出来ます。レンガ造りで、これまた趣のあるものです。

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写真7:百年館2階のテラスから見た、現役の導水管(左側)と、初代の跡地(右側)

 仙台城などを巡回するループバス「るーぷる仙台」でも行くことができます(この場合は、停留所番号11の「交通公園・三居沢水力発電所前」下車で徒歩3分)。仙台へお越しの際は、ぜひ一見されることをお勧めします。

参考:東北電力Webサイト「三居沢電気百年館」紹介ページ
http://www.tohoku-epco.co.jp/pr/miyagi/sankyozawa.html

吉岡 泰亮(広報委員会)








posted by 水資源・環境学会広報委員会 at 13:15Comment(0)随想

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※ この用語については、宮崎淳氏のご教示をいただきました。

高橋 卓也(広報委員会)

posted by 水資源・環境学会広報委員会 at 00:28随想